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双葉のしおり

読んだ本の感想と紹介をするブログです

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』

小説

いわゆる「ディストピアもの」である。

ひとつ前の記事にある『火星年代記』は非常に読みやすい物語だったが、こちらはそれとは真逆に非常に読みづらい作品だった。


華氏451度』を読もうと思ったきっかけは、『鏡の中の言葉』の訳者あとがきの中でこの2冊が同じ筋書きだと書かれていたからである。
なるほどその通りで、本や文章が規制されているという設定も近い。

『鏡の中の言葉』では、国家が言葉の意味を一つに絞ったことで冗談やメルヘンのない世界になった。
華氏451度』では国家による制約はより厳しく、焚書を通して思想や哲学そのものを否定している。
政府のあり方がより厳しい『華氏451度』の方がより暗く重い雰囲気を纏っている。

良し悪しではなく読みやすさで言えば『鏡の中の言葉』に軍配が上がるだろう。
ハンス・ベンマンがメルヘン作家なだけあって、冒険譚的な明るさと希望がある。
もちろん『華氏451度』にも希望がないわけではないのだが……