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双葉のしおり

読んだ本の感想と紹介をするブログです

宮下啓三『メルヘンの履歴書 ―時を超える物語の系譜』

ドイツにおけるメルヘンの成り立ちと現代までの変遷を追った一冊。

ドイツ文学においてメルヘンが重要な位置を占めているということはなんとなく知っていたが、文学としての始まりがフランスの妖精物語の翻訳だったのは意外だった。
しかも、フランスでは妖精物語が貴族のものとされたがために、フランス革命によって失われてしまったというのは非常に興味深い。


日本におけるメルヘンがファンシーで柔らかな雰囲気なものになってしまったことについて、子ども向けにするためであるとか、美しいものにするためであるとか述べられていたが、それだけではないように思う。

物語を絵本や子ども向けにしようとすると「尺」の問題で余分な部分は削るしかない。
長い物語は飽きてしまうし、絵本は絵の文だけページもスペースも必要になる。

小人の表現についても同じではないだろうか。
最近の絵本では、「白雪姫」の小人が老人ではなく若者にひげをつけただけの美しい生き物として描かれていると捉えているようだが、単にシワがデフォルメされているだけのようにも思う。

文章でも絵でも、無駄をそぎ落としてシンプルになればなるほど抽象的になる。
反対に、複雑な表現はリアリティを生む。

とすれば、絵本の中の白雪姫は物語が洗練されていった結果とも言えるのではないだろうか。