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双葉のしおり

読んだ本の感想と紹介をするブログです

伊坂幸太郎『重力ピエロ』/万城目学『鴨川ホルモー』

伊坂幸太郎『重力ピエロ』

話自体は面白いのだけれど、最初から遺伝子推しだったお陰で謎解きとしてはちょっと物足りない感じだった。
主人公と一緒に謎解きをするスタンスで読まなければ大丈夫そう。

万城目学鴨川ホルモー

京都の地理に馴染みのある人はもっと楽しめそう。
すべては明らかにならず、不思議な部分は不思議な部分のまま残っているのが良かった。

小池真理子『妻の女友達』/吉田修一『パレード』

小池真理子『妻の女友達』

内容とはあまり関係ないけれど、1995年ってこんなに昔だったっけと思えてならなかった。
レトロというよりバブリーな雰囲気がまだ残っている印象。

吉田修一『パレード』

解説にあるように、読む毎に印象の変わる話だと思う。
3回とは言わずとも、2回は読み直したい作品

小池真理子『ひるの幻 夜の夢』 / 浅田次郎『月下の恋人』

小池真理子『ひるの幻 夜の夢』

中年というよりも老人に一歩踏み込んだ男女の日常と色恋。
話の内容そのものよりも、やたら裕福な小説家だったり妾だったり、はたまたお飾りの会長だったり、高等遊民に限りなく近い人々ばかり登場するのが気になってしまった。
そのせいか日常を描いた作品のはずなのに、まるで異世界の出来事のようにも感じられる……

浅田次郎『月下の恋人』

ちょっと不思議で、なんとなく不安な感じもするような短編集。
特に最後に収められている「冬の旅」が気に入った。
冒頭に引用される『雪国』の一節と、鬱々とした少年の心が相まって一層寒々しい。

矢月秀作『もぐら』

ライトノベルから恋愛とファンタジーと若さを引いて暴力をぶち込んだような作品。


舞台は現代だし主人公は刑事をやめたおっさんだけれど、悪党をバッサバッサを倒していく様は爽快感がある……と思う。
喧嘩も強いし、元刑事の知識や人脈も使えるというポジションはなかなかにオイシイ。
文字作品だからライトノベルのようと表現したが、ノリは青年コミックに近いのかもしれない。


テンポの良い会話とアクションシーンのお陰で、サクサク読めるタイプの本で、好きな人はとことん好きだろうなと言う印象を受けた。
暴力シーンが過剰に感じられて、個人的には少し引いてしまった……

道尾秀介『月と蟹』

ヤドカリを神様に見立ててライターで焼き殺すというのはいかにも呪術じみている。
「神様」に対する願い事も、嫌な奴を不幸にしてほしいとかお金がほしいだとか、(最初は)全く大したことのない願いばかり。
小さな生物をなぶり殺しにしておきながら、罪悪感であるとか、小さな命の尊さであるとかそういう部分には触れないし、物語においてもあまり重要でないという部分にゾクゾクした。

「子どもの無邪気な残酷さ」というよりも、作品全体に漂う「陰鬱さ」の一端ではないかと思う。
鎌倉の近く、海辺の町、季節は夏。
舞台はこれでもかというぐらい爽やかなはずなのに、この作品はいい意味で淀んだ海水のような雰囲気を纏っているように感じた。

奥田英朗『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』

数年前に「空中ブランコ」のタイトルで深夜アニメにもなっていた作品。
肝心の本編は色々あって見られなかったのだが、やたらビビッドな雰囲気のビジュアルだったのを覚えている。
本来デブで老け顔の伊良部が美少年だったり美少年だったりしていたようだが、映像作品でおっさんを見せられても面白くもなんともないだろうし、あの改変は英断だったのではないかと思う。

ともかく、伊良部のキャラクターがいい。
マユミもだんだん可愛く見えてくる。

読み始めの頃は「何だこの医者」と患者の側に立っていたのだが、2冊目を読み終わる頃にはいいキャラクターだなと思うようになった。
身近にいたら関わるのはゴメンだが。

話としては「女流作家」が一番好きだ。
書きたいものを書けず、完全にパターン化した恋愛小説ばかりを書く小説家の出てくる話だ。
シリーズ作品で2冊めの最後となると話も型が見えやすくなってくるが、丁度そのタイミングで収録されており、なんとなく皮肉めいている。
作中に奥山英太郎なる人物が売れない作家として名前が出てくるのも良い。

沼田まほかる『痺れる』 / 桜木紫乃『ホテルローヤル』 / 時雨沢恵一『キノの旅 19』

短いのでまとめて3冊

沼田まほかる『痺れる』

ホラーだろうか、サスペンスだろうか。
不気味な雰囲気のある短編集。

ドキドキするような恐怖ではなく、どこか不安感を覚えるような話が続く。

桜木紫乃ホテルローヤル

一件のラブホテルを舞台とした短編連作。

最初に収められているのは既にラブホテルが廃墟になった時代の話。
少しずつ時代を遡ったり戻ったりしながら、最後には開業時の話が収められている。

スタートが廃墟なせいもあるのだろうが、常にどこか虚しい雰囲気が漂っている。

時雨沢恵一キノの旅 19』

ライトノベルはもうシリーズものの続編しか買ってないことに最近気がつく。
年をとったなぁ。

最近の巻は、キノ、師匠、シズ、フォトそれぞれの話が収録されるようになっている。
相対的にキノの話が減ってるのに若干の寂しさも覚える……